あらすじ。
口を塞がれた女性たちがペンを執り、鳥の翼のように自由に紡ぎ出した言葉の数々。女性嫌悪、家父長制度、暴力、貧困、テロ、戦争、死。一日一日を生き抜くことに精一杯の彼女たちが、身の危険に晒されても表現したかった自分たちのいる残酷な世界と胸の中で羽ばたく美しい世界。
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短編集だが内容が辛くて、読むのに時間がかかる本だった。戦争やテロのことも描かれているが、それに加えて貧困や女性差別も描かれている。物語を書いた女性たちは、物語を書くこと、表現することに対して緊張を強いられていたとあとがきに書かれている。
人は絶望の中にあったとき、何を求めるのだろうか。家族や友人の姿を思い浮かべたりするのだろうか。私は何かを書いたり、読んだりすることで絶望を避けてきたような気がする。絶望の時、何かを成し遂げる主人公を見て元気を貰ったりする。だが、この本には絶望に打ち勝つ何かはない。絶え間なく続く貧困や暴力、差別が嵐のように吹き荒れている。そこに私は入らなければならない、そんな本だ。勿論、希望がある短編集も存在する。しかし、その前にやはり、死があったりする。
この本読んで、私は力強さや絶望の中でも生きることの尊さということは感じられなかった。むしろ、苦しさや絶望の中でも生きなくてはいけない残酷さがそこにあった。それを無視して、この本を語ることは出来ないのではないかとも思う。それを無視したら、この作家たちの声は消えてしまうのではないかとも思う。
私たちに何ができるというんだ?という冷笑は、誰かを踏みつけていることと同じだと思う。私たちが何もできないと諦めてしまったら、この人たちはどうなってしまうのだろうか。私は、知った。だから、見て見ぬ振りをしないように、冷笑しないようにしたい。それは、どんな人も同じなのではないかと思う。
最後に、私が寄付している団体を紹介したい。紛争や内戦、貧困で図書館がない地域の子供たちに本を届ける団体がある。そこに、私は微力ながら毎月、寄付している。そこには、アジアだけではなく、アフガニスタンも含まれている。ホームページにリンクを貼っておくので、見て欲しいなと思う。