棚の隙間

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今月のおすすめ本 10月号 『たやすみなさい』岡野大嗣著 書肆侃侃房 現代歌人シリーズ

 こんばんは、今日はハロウィンですね。プライベートが忙しく、月末のご紹介となってしまいました。すみません。

 さて、今月のおすすめ本は、岡野大嗣著、現代歌人シリーズより『たやすみなさい』です。以下、公式サイトです。

 

www.kankanbou.com

 

 刊行されているシリーズからお分かりの方が多いかと思いますが、短歌集となります。タイトルの「たやすみなさい」は意味があるようで、ページの最初にこう書かれていました。

たやすみ、は自分のためのおやすみで「たやすく眠れますように」の意

 たやすく眠れることが最近ないので、とてもいい言葉だなと個人的には思います笑。沢山の短歌が掲載されているのですが、歌を見て、その情景を思い浮かべた時にセピア色になっている、そんな感じがする短歌が多いです。日常のふとした瞬間を詠っているのですが、その時の色があめ色だなと感じました。それは懐かしさという色でもあるし、苦しみ、淋しさという色合いでもあるかなと思います。

 私だけかもしれませんが、ここに書かれている短歌は人によっては、日常のこんなことがあるんだな位に終わってしまうかもしれないです。ただ、著者がこのタイトルにしたこと、この言葉の意味を私は考えてしまいます。もしかしたら、この短歌集は眠れない人たちに向けて、掲示板にそっと書いたような短歌なのかなとも思います。日常がセピア色で埋まっていく。でも、その哀しさとか、淋しさをどう言葉にしていいか分からない。でも、痛みというほどではない。もしかしたら、痛みかもしれないけれど。そんな気持ちが募っていて、サイトを開いたらこの短歌があった。励まされるとか、そういう事ではないかもしれないけれど、落ち着いた。残酷だけど、クスっと笑ってしまった。「たやすみなさい」が言えない人たちのために。著者がどんな思惑でこの短歌集、タイトルを付けたのか分かりませんが私は少なくともそう思っています。

 悲しことが続いていて、迷っていた時に「たやすみなさい」は必要なのかもしれません。自分の為に言える言葉って、中々ないですよね。だから、この言葉がもっと広まってくれればいいなと思うと同時に、この短歌を読んで「たやすみなさい」を言えることが出来る人がいればいいなと思います。

 長文失礼しました、今日はこの辺で失礼します。おやすみなさい。